院長のひとこと

Director One word

ただいまの院長日記 (時々更新しています)

 

age-related macular degeneration

加齢黄斑変性症について

私が研修医だった頃、“年齢から来るものだから治らない”と言われていた「老人性黄斑変性症」。当時は数ある眼底疾患の中でもさほど目立たない存在で、この病気にかかったら、「運が悪かったですが、治療方法はありません」としか話せないため、辛い思いもしました

それが、諸先輩の眼科医が蛍光眼底造影検査や、ICG(インドシアニングリーン)造影検査にて疾患の正体を突き止め、更にここ10年以内に普及しつつあるOCT(眼底三次元解析装置、網膜断層撮影装置)にて、さらなる病態の把握が容易になり、そして画期的な治療方法が登場しました それはVEGFと略される、血管内皮増殖因子の働きを抑える治療薬を硝子体に直接注入する方法で、清潔下での操作が必要です。従来行われていたけれども破壊的治療であったレーザーによる光線力学療法などに較べ侵襲が少なく、繰り返し注射を行うことにより、網膜をよりよい状態に維持出来る可能性が高くなります これまで散々手を焼いて来たこの疾患に当院も昨年からこの抗VEGF療法を始めたところ、予想外の良好な結果が得られました。実際に網膜色素上皮下にあった血腫(血の塊)が大幅に消退したり、あるいは消滅したり、個人差もあるにしても、治療開始後比較的早く改善する方が多くなっています

抗VEGF療法

当院で施行している抗VEGF療法について

研修医だった頃、“年齢から来るものだから治らない”と言われていた「老人性黄斑変性症」。当時は数ある眼底疾患の中でもさほど目立たない存在で、この病気にかかったら、「運が悪かったですが、治療方法はありません」としか話せないため、辛い思いもしました

それが、最近普及しつつあるOCT(眼底三次元解析装置、網膜断層撮影装置)にて、さらなる病態の把握が容易になり、そして画期的な治療方法が登場しました それはVEGFと略される、血管内皮増殖因子の働きを抑える治療薬を硝子体に直接注入する方法で、清潔下での操作が必要です。従来行われていたけれども破壊的治療であったレーザーによる光線力学療法などに較べ侵襲が少なく、繰り返し注射を行うことにより、網膜をよりよい状態に維持出来る可能性が高くなります これまで散々手を焼いて来たこの疾患に当院も昨年からこの抗VEGF療法を始めたところ、予想外の良好な結果が得られました。実際に網膜色素上皮下にあった血腫(血の塊)が大幅に消退したり、あるいは消滅したり、個人差もあるにしても、治療開始前の矯正視力0.3だった患者さんが0.8まで改善するなど、想像を超えた成績を収める方もいらして、これは嬉しいことです 更に最近この治療が加齢黄斑変性症のみならず、失明の原因の上位にある糖尿病網膜症や、網膜静脈閉塞症などにも効くことがわかり、保険適用の範囲が広がりました。このチャンスを活かさないのはもったいないと思い、院長日記に記した次第です 気になるところがあるとすれば、一度の注射で終了する訳ではなく、少なくとも数回の治療が必要なので毎月一回程度の間隔で継続的に通院することが必要なことと、保険適応とはいえ一定の金額がかかることくらいでしょうか。まずは適応があるかどうか気になる方は、OCT設備のある眼科を受診してみることをおすすめします

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